『竹林はるか遠く』を

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竹林はるか遠く 日本人少女ヨーコの戦争体験記

竹林はるか遠く - 読後

逃避行の舞台の短所は現在の北朝鮮領内に位置する羅南という町。

1915年に大日本帝国陸軍の第19師団司令部が置かれ、1923年には咸鏡北道庁が羅南に移転した。

軍事・行政の中心地であったため日本人居留者も多かった。

 

 

深夜に、逃げろと通告されて、母と姉と著者の3人で持てるだけの荷物をまとめ、逃げる。

日本はまけたと言ってなぜか逆恨みする某民族が順番に強襲し回っている、逃げないと君たちも襲われるというのだ。

なんとか辿り着いた羅南駅で列車に乗るものの、車内で凄惨な光景を目の当たりにする。

途中で列車を降りて徒歩で釜山を目指す。

強姦されかかり、髪を剃り胸部に包帯を巻いて危害を避けられた。

食べるものが尽きる。ゴミを漁るしかない。

人でごった返す釜山で兄を待つも再会できず、やむなく出航。

日本へ期間後、母が亡くなる。表題竹林とは、お母様の故郷実家近くにある竹林を指す。

通い始めた学校では、ぬくぬく育っているお嬢様方の差別・いじめに晒されるも、懸賞論文で1等に入選し、周りの目を変えた。

お姉さんのたくましさにも感動する。

 

著者の兄の逃避行も1章を設けて語られている。 4枚重ねの靴下は凍ってしまっている。それでも休まず、吹雪の中を、歩き続ける。

釜山へ、逃げる。日本に還るために。

しかしとうとう力尽きようという時、死の直前まで流離って、一般の韓国人家族に助けられたという。

 

この地球では、観念の闘争対立から離れたところでなければ触れることのできない、一つの底流・人情の自然・行為が人を為す、といういわば定理を教えてくれる。

もっとも、韓国内では善良などとは言わない方がいいらしいようだが。

いい加減反日扇動などやめて、つまり一部の煽動者らが駆逐されて、他国の侮辱をやめ、嘘は嘘と認める勢力が、なぜ擡頭しないのか? アメリカの陰謀か?

地球に責任を負えるほどの大金持ちが、なぜいい加減面に引きずり出されて裁かれないのか?

 

ゴミ箱を漁ってでも生き抜いた事実の重み。

そんなことはしたくないから体が衰弱して死んでもいい、腐敗し強烈な異臭を放つ死体になってもいい、とは普通人は考えない。

生きているなら、できることはすべてやるべき、その証明を、著者、そして姉が、高レベルで見せてくれている。

 

日本による停戦宣言が、敗北宣言とすり替えられ、いまだに敗戦という言葉を使う。

シベリアのスターリンには漁夫の利を奪取されるし、日本の戦後処理はあまりにもまず過ぎた。

それまで連戦連勝だったのが災いしたのか、日本人の気質としてそうなのか? 戦争は、自国が利益を打つためのカードの中の1枚に過ぎず、それも最後の最後のカードである。 戦争は、果たし合いではない。

カードとしての戦争に、倫理を持ち出しても、空論というものである。 また、武士道云々という議論も滑稽だ。そもそも武士道とは、戦さのなくなった太平の世に生き、一度も実戦の経験のない下級職業武士が、かつての戦国時代を妄想し、滅私奉公、すなわち犬死を賛美した時代錯誤の記念碑である、というに過ぎない。これがわざわざ映画にまでなったりしているのだから、勘違いも救いようがない。

真の意味での武士の道なら、譬えば宮本武蔵の実践の書である「五輪書」を取り上げるべきである。

このような勘違い現象とて譬えば、出生しゅっしょうがしゅっせいと読まれたり、遺言いごんがゆいごんと読まれたりするのと同じで、出所や原典と切り離されて、世間に一人歩きしたものの事例である。 中身ではなく、パッケージについたラベルがそんなに愛おしいというわけである。

 

羅南から釜山で乗船するまでの逃避行、そして帰還してからの日本での苦難の連続。最後まで息もつかせない緊迫感。読むのが遅い私にしては珍しく3日で読み切ってしまった。

ご一読をお薦めします。

 

 

 


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Posted by Qawai